ロック・ミュージック2


015

Fish Rising

STEVE HILLAGE  スティーブ・ヒレッジ

【スペース・サイケ音楽】実は海や魚とは全然関係ないポップなサイケ、スペース・ギターもGOOD

 

タイトルがFish Risingでジャケットが魚の絵、The Salmon SongとかFishという名前の曲も入っています。クレジットがSTEVE HILLFISH、演奏楽器もGitfishです。当然、海をイメージさせる音を想像してしまいますが、実際に聞いてみると「熱にうなされたサイケ」という感じの音楽です。強いてあげるなら2曲目の「ごぼごぼごぼ」というSEでしょうか。では何故?と思いますが単にSteve Hillageが釣り好きというのが理由だそうです。初めて知った時は少し笑ってしまいました。

 

このアルバムの曲はどれも素敵で演奏もかなり気合いが入っています。Steve Hillageもギターを弾きまくっています。特に1曲目の17分に及ぶ力作Solar Musick Suiteと3曲目Meditation Of The Snakeがお勧めです。

 

ギターというのは本当に不思議な楽器と思います。どうしてこんなに弾く人によって感じが違うのでしょうか。同じサイケを演っていてもJerry Garciaのギターは官能的なのに、Steve Hillageはふわふわしています。スペーシーな感じです。それがサイケに良くあっています。


014

Songbook

PAUL SIMON ポール・サイモン

【凍える冬空の星】 地味な弾き語りに、失意のどん底の中でのひそかな覚悟が

 

「男は顔じゃないよ、心だよ」とか「美人も3日で飽きる」という言葉があります。「顔がコンプレックスだったけど、整形したら性格まで明るくなりました」と患者が語りかける美容整形外科のコマーシャルがあります。私達は、通常、内面(本質)と外見を分けて考えていますが、曲に対しても同様のメタファーで聴いているのではないでしょうか?

 

BeatlesにRevolutionという曲があります。Johnがシングルカットしようとしたら、PaulとGeorgeが地味すぎると言いだし、結果、アップテンポでハードなギターが入る派手なバージョンがシングル用に作られ、オリジナルはRevolution 1としてWhite Albumに収められました。あれだけレコードが売れたというのに今更という気がしても、やはり「Beatlesのシングルが売れない」というのは彼らのプライドが許さないのでしょう。

 

Simon & Garfunkelはヒット曲を連発した60年代のスーパーデュオという印象が強いですが、デビュー当時は全く売れなかったらしいです。失意のPaul Simonがイギリスに渡って作ったのがこの初ソロアルバムです。アコースティックギターの弾き語りでI am a rockやSound of SilenceなどSimon & Garfunkelでおなじみの曲もやっています。Sound of Silenceには例のイントロも入っています。聴き比べると、S & Gバージョンの方が、テンポが速めなのとエレクトリックな楽器やドラムが入り、華やかな印象です。これが功を奏したのか、その後スター街道を歩む事になります。

 

John LennonやPaul Simon本人がどう思ったのか知る由も無いにしても、「多少アレンジ(外見)が変わっても曲の本質には変わりがない」とか「売れる為には外見の方が重要だ」といった議論があると思います。だが、曲の本質など本当は無いと僕は思います。メロディや歌詞の一部から曲の本質があると思い込んでいるだけです。アレンジは、曲の本質が纏う服装では決してありません。曲の本質とはメロディや歌手の声なども含むあらゆる要素が集まった全体であり、大げさに言えば、一つが異なれば全てが違う、曲との出会いは一期一会です。大切にしたいです。


013

Black Rock

JAMES BLOOD ULMER ジェームス・ブラッド・ウルマー

【弾ける疾走感】バネのように、躍動感溢れる音楽

 

このアルバムを最初に聴いた時、一曲目のOpen Houseを聴いて、思わずウォーと叫んで走り出したくなりました。ギターとベース、ドラムが一体となって一旦タメを作ってから一気に弾けて走り出す箇所、バネのような展開に聴く人の心も弾けます。意味も無くなんだかじっとしてられなくなってしまいます。

 

James Blood UlmerはOrnette Coleman の下でハーモロディック理論を学んだ後に独立しました。Ornetteとの正式なアルバムのリリースは無かったと思います。このハーモロディック理論というのが謎の理論で、同じ理論に基づいて作られたOrnetteのアルバムと聞き比べてみても似てる所など殆どない。いや、表面上は無いように思われます。

 

ずーっとJAZZのレッテルを貼られているのが不満で、敢えてBlack Rockというタイトルでリリースしたのがこのアルバムです。黒人でロックアーティストといえば、最も有名なのはJimi Hendrixです。James Blood Ulmerもこのアルバムをリリースした頃はJimiの後継者と言われた事がありました。が、実は同い年です。

 

最もJimiを思わせるのは、二曲目Black Rockです。曲の構成無視で、先の見えないハチャメチャな展開がスリリングです。ギターのスタイルは殆ど似てないのに後継者と言われたのはこんな所がJimiを思わせるからではないでしょうか。

 

このアルバムは、メインのJames Blood Ulmerのギターも確かにグッドですが、Amin Aliのベースがカッコ良くて痺れます。


012

Bachelor No.2 Or the Last...

AIMEE MANN  エイミー・マン

【意志の強さを感じさせる声】知性的な静かな声、クールながらも温かい

 

映画の「マグノリア」を見て主人公の人達が唄うWise Upが直ぐに気に入りました。CDを買おうかと探したのですが、クレジットを見誤ってFiona Appleかと何故か思い込んでしまい、なかなかAimee Mannに辿り着きませんでした。素直にサントラを買えば良かったのに、サントラを買う事が普段ない為無駄な苦労をしてしまいました。

 

このアルバムはアコースティックをベースにしたサウンドで、クールなボーカルとは対照的にとても温かい感じがします。Aimeeの声も落ち着いていて聴いてる方の気持ちもゆったりしてきます。

 

実は、映画自体がAimeeの歌にインスピレーションを受けて作られたそうです。最後はそれなりにハッピーエンドなのが歌と同じ温かい視点を感じます。ただ、彼女の歌を聴いてあそこまで複雑なストーリーを思い付くのは凄いと思いつつも、もう少しシンプルな方が彼女の歌に合ってたかなという気もしました。

 

サントラに使われた曲も多数入っていて、特にシングルカットされたSave Meは本当に良い曲です。CDにはビデオも入っています、残念ながら何故か家のパソコンでは再生できませんでした。更に残念だったのは、最初に気に入ったWise Upが入ってなかった事で、結局はサントラも買ってしまう破目になりました。


011

Marquee Moon

TELEVISION  テレヴィジョン

【ニューヨーク、ニューヨーク】ニューヨークがそのまま音になったような、スタイリッシュな音楽

 

初めて聴いた時は、NY出身のパンクバンドという事くらいしかTelevisionについては知りませんでした。NYというと、遠く離れた日本に住む者には、オシャレとかインテリジェンス、あるいは、スタイリッシュといった言葉が勝手に浮かびます。

 

確かに聴いてみるとそんな気がする、イメージ通りの音楽でした。1曲目、結構軽やかなリズムのSee No Evilに始まり、金属的な音色の2本のギター、同じNYのTalking HeadsのDavid Burneにも似ているTom Verlaineの甲高い神経質そうなボーカル、パンクバンドながらお洒落な感じもします。

 

特に3曲目のFrictionから4曲目Marquee Moonに続くところは、このアルバムのベストであり、文句なしにかっこいい!ファンキーなギターのリフも良いし、2本のギターが絡み合って独特のサウンドを奏でています。

 

ラストのTorn Curtainはスローでドラマティックな曲で、全然パンクっぽくなく、他の曲とは随分印象が違います。実に幅広い音楽性を持ったバンドでした。