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イノベーションを成功させる、Jobs To Be Doneという考え方

相変わらずイノベーション関連のビジネス書は多いですが、「イノベーションのジレンマ」の著者であるクレイトン・クリステンセン(Clayton M. Christensen)の新理論となれば、否応いやおう無しに期待も高まります。

 

 

photo credit: Alexandre Dulaunoy via photopin cc

Know Your Customers’ “Jobs to Be Done”

イノベーションの成功率は恐ろしく少ない

イノベーションの成功率は衝撃的に低い、それはこれまでもずっとそうだった、という問題提起からまず始まります。これだけイノベーションに関するビジネス書が出回っているのは、イノベーションの成功が難しいので、手を替え品を替え販売されてもそこそこ売れる、という事でしょう。ダイエット本と同じですね。今回のビジネス理論は、この現象を打止めにすることが出来るでしょうか。

 

データ分析は役に立たない

ビッグデータ分析が盛んな世の中に対して、またまた刺激的な事を言っています。もっともビジネス書の場合、「今まではAだったが、これからはBである」から始まり、思惑通りにBが流行ると、今度は「何故Bを取り入れたのに、思ったような成果が生まれないのか」に代わり、最後は、「これまでBが必要と訴えてきたが、これだけでは充分でない事がわかって来た。何故ならCが抜けているからである」に化けるパターンが殆どです。

 

現在の分析は、顧客プロフィールとその相関関係を見つけるのに注力し過ぎているそうです。属性から推測するのは不十分で、「顧客がどのような環境で、どんなジョブをやり遂げようとするか(Job to be done)」を考える事が重要だと言っています。

 

顧客がやり遂げたいジョブを考える事が重要

このジョブ(Job to be done)という考え方が何なのか、イマイチよく分かりません。日本語だと「用事を済ます」といったところでしょうか。昔から言っているニーズとどう違うのか、そんなに新しい概念なのかピンと来ません。よく言われる「顧客が欲しいのはドリルではなく穴」や「車を知らない顧客に何が欲しいと尋ねたら、車ではなく速く走る馬車と答えるだろう」という話が一番近いのかもしれません。

 

顧客プロフィールと馬車の属性を分析して、一番希望に叶う馬車を提供するのではなく、「目的地に着く」というジョブを理解して、製品やサービスを考えるという事でしょう。

 

ジョブは単純な機能にはならない

家の販売で、ダイニングルームのテーブルの話が出て来ます。子供が独り立ちしたといった家族構成の変化でより小さい家を求めているのに、なぜこれほどまでに今持っているダイニングルームのテーブルが入るかどうかを顧客が気にするのか?その理由を知る事がジョブの理解へと繋がり、売上を伸ばす事が出来ました。

 

ジョブを理解して、イノベーションを起す

ではそのジョブの考えを、どう製品やサービスに生かしていけば良いのでしょうか。顧客がどのような状況下でどんなジョブをやり遂げたいのかを理解するのは最初の一歩で、製品やサービスを顧客が知り、購入して使うという全てにわたって、「顧客体験」をセットできていないといけません。

それが出来るように、プロセスの整備が必要です。この辺は、顧客は製品やサービスが欲しいのではなく、製品やサービスを通じた「体験」を欲している、という顧客体験の考え方です。

最後に良い顧客体験をデザインするための、キークエスチョンです。

  • 置かれた環境でどんな体験が顧客の求める「進歩」の手助けになるか?
  • 取り除くべき障害は何か?
  • ジョブの社会的、感情的、機能的な面は何か?
このキークエスチョンに答えながらサービスを考えたら、今まで出来なかったイノベーションが起こせるかもしれません。「何故Job to be doneという考え方を取り入れたのに、思ったような成果が生まれないのか」という追加記事が出ない事を祈りましょう。