初心者向け超実践的瞑想ガイド 2


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瞑想時の問題1  体が痛い

坐ってみて、多くの人が最初に悩む問題が身体の痛みです。

体が痛い(1):2段階の対応方法 その1

痛みに対処するには2つの段階があります。最初は、痛みを取り除く対処方法です。取り除くことができなくても、できる限り取り除こうとします。

 

最初の段階は、物理的に対処する段階です。ある痛みは坐る事に起因します。もし坐る経験が少なければ、慣れようとしている時期なので、このような不快な痛みは殆どと言ってよいほどおきます。

 

場所によっては、特定の対処方法があります。脚か膝が痛ければ、ズボンをチェックしてみてください。きつかったり厚い素材だと、問題はそれかもしれません。ズボンを替えてみましょう。クッションもチェックしてみましょう。座った時には約3インチ(約7.5センチ)くらいになるべきです。ウエスト周りが痛ければ、ベルトを緩めましょう。もし必要ならズボンも緩めてみてください。

 

背中の下部分が痛い場合は、おそらく姿勢が悪いのだと思います。猫背はだめです、背筋を真っ直ぐにしましょう。硬く引っ張ったり、硬直したりせずに、背骨をまっすぐに保ちましょう。

 

もし、背中の上部分や首が痛い場合は、いくつか原因があります。まず最初に手の置き場所を直しましょう。手は膝の上で楽に置くべきです。腰より上に引くべきではありません。腕と首の筋肉を緩めてください。頭を前方に落としてはいけません。上げて背骨で支えるようにしましょう。

 

このように色々と対処した後でも、まだ痛みが残る事に気が付くと思います。ここから第2段階の対処にチャレンジしてみましょう。


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体が痛い(2):2段階の対応方法 その2

どんなに対処しても身体の痛みは残ります。痛みを注意深く観察してみてください。痛みが起こったら、呼吸への注意を止めて痛みの元を見つけましょう。決して痛みと戦ってはいけません。注意を痛みの感覚に向けましょう。痛みだけの状態になります。この感じをブロックしてはいけません。意識を探ってみましょう。痛みから逃れようとする事を乗り越えて、いまここにある痛みの感覚を探ってみましょう。

 

そうすると、2つの物事が存在する事に気が付くと思います。1つは痛みそのものの単純な感覚です。2つ目は痛みへの抵抗です。抵抗反応は心理的なものもあり、身体に出るものもあります。

 

身体に出るものは、痛い部分やその周りの筋肉が硬くなることです。これらの筋肉は緩めて下さい。一つ一つとてもゆっくりとやってください。この段階だけで、おそらく効果的に痛みが消えると思います。

 

次に心理的な抵抗を追ってみましょう。身体が硬直するように、心もまた硬くなります。痛みの感覚を抑え続けているはずですが、見つけ出して、拒絶しましょう。方法は、言葉には出しませんが、「この感じは好きじゃない」とか「去れ」といった態度です。捕らえ難くとても微妙ですが、本当に注意を向ければ探し出す事ができます。探し出して、リラックスしてください。


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体が痛い(3):痛みから自由になる

痛みに対する第2段階の「心における対処方法」は、とても微妙で繊細です。正確に説明できる言葉はありません。最も良い方法は、「推論」する事です。硬くなった筋肉にどうやって対処するかを観察して、心の範囲にも同様の対処をやってみてください:身体をリラックスするように、心もリラックスします。身体をリラックスすることは心をリラックスすることで、逆も然りです。仏教では、心と身体は密接に結びついていると考えます。

 

抵抗はあなたが自分で建てたバリアです。それは、自身と他との乖離であり距離感です。「わたし」と「痛み」は分断されています。バリアをなくすと、分断が消えます。ゆっくりと押し寄せる痛みの海に身を投げ出し、痛みとひとつになります。あなたが痛みになります。

 

(痛みの海の)潮のみちひきを注意して見ていると、何か驚くことが起こります。もはや痛まなくなるのです。苦しみが去ります。痛みがただそこにある、それ以上は何もありません。痛かった「私」は去り、結果として痛みから自由になれます。


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体が痛い(4):痛みに対してマインドフルになる

これは少しずつ進んでいくプロセスです。最初は、痛みが小さいときは上手くいきますが、大きくなると挫折するかもしれません。他の多くのスキルと同じように、練習とともに上手くなります。練習すればするほど、上手く扱うことができるようになります。

 

充分に理解するしてください:別にここでマゾになれと勧めているわけではありません。自ら進んで苦行することはポイントではありません。「気づき」への練習で、「苦しみに絶える事」の練習ではありません。

 

痛みがひどく苦しいときは、体を動かしても構いません、しかし、よりゆっくりとマインドフルに、です。動作を観察してください。動くとどう感じるか、分かってください。動作が痛みに対してどう影響するかを見守ってください。痛みが減少するのを見つめてください。

 

とは言え、沢山は動かないように。動きが少なければ少ないほど、完全なマインドフルにとどまる事が、より簡単にできるようになります。

 

「痛みがあるとマインドフルになるのが困難」と、初心者は時々言います。この困難は誤解から生じます。マインドフルネスを痛みの感覚とは何か違うもののような考えを抱いています。でも違います。マインドフルネスは決してそれだけでは存在しません。いつも何かの対象があります。痛みは心の状態です。呼吸に対してマインドフルになるのと同じように、痛みに対してマインドフルになることができます。

 

痛みに対するマインドフルになる技術が習得できたら、生きる事の様々な問題に対応できるようになります。不安や慢性的な失望感に対しても、その技術で対処できます。人生でもっとも使えて、応用が効く技術です。

 

それは、「patience(忍耐力、辛抱強さ、根気)」です。

マインドフルネス、メディテーション(瞑想)のおススメ本