ロック・ミュージック



010

The Piper at the Gates of Dawn

PINK FLOYD  ピンク・フロイド

【英国流ストレンジ】Syd Barrett唯一のアルバムは、英国感覚が一杯のサイケデリックミュージック

 

仮に他人の心臓を移植したら、移植後の人は元の人と同じであろうか?と問われて「他人です」と答える人は非常に少ないと思います。では、脳を入れ替えても同じく「同じ人です」と言えられるでしょうか。

 

Pink Floydといえば、当然Atom Heart MotherやEchoesといったいかにもプログレといった曲が有名ですが、このファーストアルバムは全く印象が違います。この一枚だけでバンドを離れる事になるリーダーのSyd Barrett(シド・バレット)の個性がフルに反映された、不思議な不思議な英国流サイケデリックサウンドだからです。不思議の国のアリスとかマザーグースの世界です。

 

本当に1人替わっただけでこれほどサウンドが変わるのかと聴くたびに驚かされます。名前は同じだが全く別のバンドです。Sydの存在の大きさが伺いしれます。やっぱり、脳が変わると他人でしょうか?Sydと言えば良く言われる詩に関しては、残念ながら良く分かりません。彼のギターのカッコ良さなら聴いていれば充分わかります。替わりに加入したDavid Gilmourの泣きのギターも結構好きですが、Sydのギターはそれと対極の全く叙情的でない乾いたサウンドとフレーズです。

 

1曲目のAstronomy Domineから良い曲が続きます。特に7曲目のInterstellar Overdriveは疾走するギターオーケストレーションという感じがたまらない、67年発売というのが信じられない古くならないサウンドです。この曲は、当時の彼らのライブに最も近いサウンドだそうです。ロックミュージックは、このアルバムから全然プログレッシブ(前進)していません!(断言)


009

Fun House

THE STOOGES  ザ・ストゥージズ

【破壊、破壊、破壊】聴く人を、暴力的な衝動に駆りたてるサウンド

 

なんかムチャクチャ腹が立った時に、うるさい音の音楽を大音量で聴きたくなります。そんな時は、ヘビメタが合いそうですが、ヘビメタお得意の華麗なギターソロさえも邪魔に思えてNGの場合、このアルバムの登場です。

 

歪みまくったギターは、リフ中心で余計なソロは弾きません。リフを聴いているとだんだんと暴力的な気持ちが沸き起こってきます。そこに、斜に構えて聴く人を挑発するようなIggy Popのヴォーカルが加わと、もういけません。腕力に自信がある人は、人を殴らないように気を付けてください。特に二曲目のLooseや三曲目のT.V. Eye、6曲目のFun Houseは破壊力120%です。

 

Stoogesは、有名なI Wanna Be Your DogやSex Pistolsのカバーでも有名なNo Funが入っているファーストも有名です。John Caleがプロデュースしたからなのか、まだまだインテリっぽい感じがします。このアルバムは、その辺も吹っ切れ、まさにイかれたバンドの狂ったサウンドになっています。

 

また、珍しくサックスが入っておりColtraneの影響だそうです。一時期のKing Crimsonと同じように、こういうメタリックなサウンドにサックスというのは狂った感じを更に加速させます。


008

Blue

JONI MITCHELL  ジョニ・ミッチェル

【青の時代】アコースティック時代の瞬間のかがやき、はかない青春のよう

 

このアルバムはタイトルがBLUEでジャケも青色。 強烈に青色へのメッセージが有ります。僕の感性が鈍いのか音楽を聴いて色をイメージしたことは残念ながら殆どありません。このアルバムを聴いていると、ソローの『森の生活』に出てくるような自然の中の湖で泳いでいる風景がイメージされます。そして、自然の中で気持ちが開放され、泳いだ後の目で見ると景色の全てが青のフィルターがかって見えている、あの感じです。

 

曲は全てアコースティックでギターかピアノのシンプルな演奏です。ギターが彼女の代名詞とも言える変則チューニングの為、 他では聴いたことが無い大変不思議なサウンドになっています。 オススメは「歌はタトゥーぽい」という有名なフレーズで始まるタイトル曲や1曲目のAll I Want、 軽快でキャッチーなメロのCareyです。

 

Joniはこの後も傑作アルバムを発表し続けます。徐々にサウンドはエレクトリックになっていき、アコースティックのアルバムはもうリリースしなくなります。同じアコースティック時代でも、この前後に発表されたアルバムとも全然違う、異常な緊張感がこのアルバムにはあります。本当に奇跡のような煌きを持ったアルバムです。聴けば絶対に1曲目から引き込まれます。

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The Asylum Years

Hejira


007

Remain in Light

TALKING HEADS トーキング・ヘッズ

【アンビエント+ファンク】Enoのアンビエント音楽がとってもファンキーに。不思議な音色の楽器が更に魅力をプラス

 

随分昔ですが、発売当初はロッキングオンでかなり論争が起こったアルバムです。黒人のリズム隊を入れてファンキーになるのはお手軽過ぎる、というのが非難の始まりでした。懐かしい!

 

このアルバム、僕は「単純に」好きでした。実は、発売当時の「リズムの洪水」と言う宣伝文句の程にはファンキーなリズムは強調されていないように思います。最初に1曲目のBorn Under Punchesを聴いたときは、宣伝文句から勝手に想像していた感じと異なっていた為に若干違和感を覚えました。聴いていると、通常のブラックミュージック(ファンク)のグルーブとはかなり異なっていて、ブラックミュージックの一方的な利用では無く、人と人とが一緒に演奏することから生まれるグルーブを感じるようになりました。

 

今ではわざわざバンドに入れなくてもサンプリングというもっとお手軽な方法が有ります。それこそ単なる素材として扱っていて、このアルバムのようなグルーブは出せないと思います。その辺りはDavid ByrneとEnoがブラックミュージックを一旦自分達で解釈してから演奏した結果のように思えます。独特のクールな感じはきっとスタジオアルバムだからでしょうね、You Tubeでライブを見ると、とにかくノリが凄くてカッコいいです。

 

The Great CurveのAdrian BelewのギターやHouses In MotionのJon Hassellのトランペット等色々と不思議な音色の楽器が聴けるのもこのアルバムの魅力です。

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Marquee Moon

Discipline


006

Bringing It All Back Home

BOB DYLAN  ボブ・ディラン

【フォーク・ロック誕生】2つのジャンルを融合し、新たなフォーク・ロックが生まれる瞬間

 

Bob Dylanはかなりとっつきにくいアーティストでした。というか、今でもそうです。英語が分からないので、よく言われる歌詞の素晴らしさが実感できないし、声もどこか苛々させる所が有ります。それでも、引き込まれて何回も繰り返して聴いてしまう時が有ります、ごくたまにですが。そんな時は、畳み掛ける唄い方がとてもスリリングに感じられ、歌詞も分かったような気になってきます。

 

このアルバムでDylanはフォークからロックへ転向してファンに激しく非難されたそうです。今聴くとサウンド的にはコースティックが基本で、エレキは遠くで鳴っている程度です。当時のフォークファンは少しでもエレキの音が入るのも許せなかったのでしょうか?

 

1曲目のSubterranean Homesick Bluesは、Dylanの魅力がギューと詰まったカッコ良い曲です。メロディも無くぶっきら棒にしゃべっているだけなのに、英語なのでリズミカルに聴こえます。これが日本語なら明らかにお経でしょう。

 

「ジョニーは地下室にいる。薬をまぜている。俺は政府の事を考えながら舗道を歩いている」で始まるこの歌詞は、意味が良く分かりません。英語の詩の技法で延々と韻を踏んでいきます。pavement(舗道)やgovernment(政府)など、ただ韻を踏む為だけに言葉を並べているだけで大した意味は無い気もします。そもそも、日本人の僕には、この韻というのが良く分からない、オヤジギャグと同じじゃないか?そんな思いを否定できないのですが、アメリカ本国でも難解と言われるDylanの歌詞です、多分、深い意味があるのでしょう。

 

他にも、イントロだけだとSubterranean Homesick Bluesと殆ど区別がつかないMaggie's Farm、The Byrdsのカバーで有名なMr. Tambourine ManやIt's All Over Now, Baby Blue等有名な曲がいっぱい入っています。

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Blue


005

Tin Drum

JAPAN ジャパン

【独創的なヴォーカルとベース】Jacoとはまた違う個性を感じさせる、フレットレス・ベースが魅力

 

バンド名の割に、このアルバム以前のJapanは特に日本的な所は無かったのに、このアルバムは思いっきり「日本的な」アルバムです。それも、欧米の人が抱く日本のイメージ、中国とイメージが混ざったエセ・オリエンタルムードそのものです。東洋的なメロディ、能楽っぽいSEなどあえて狙ったのでしょうか?外国人観光客がたまに着ている、意味不明の漢字が書いてあるTシャツを思い起こします。

 

80年代の有る時期、雨後の竹の子のようにシンセがピコピコ鳴るサウンドのバンドが現れました。Japanが他のテクノポップと違う所は、David Sylvianの個性的なボーカルもさることながら、サウンド的にはMick Karnのクネクネとしたフレットレス・ベースです。フレットレス・ベースは、Jaco Pastorius やPercy Jones(Brian EnoのAnother Green Worldの1曲目でベースを弾いている人)が有名ですが、Mick Karnも負けないくらいオリジナリティがあります。

 

しかし、Ghostは全くのベース・ドラムレスのスローな曲で、Davidのボーカルを存分に聴かせる曲です。このあたりがJapanの懐の深さです。

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Brilliant Trees

Flesh & Blood


004

Electric Warrior

T.REX  T.レックス

【シンプルなワンパターン】シンプルだから、飽きの来ないオシャレ感覚

 

T.REXは凄まじくライブが下手だったそうです。某音楽評論家が来日コンサートに行き、どの演奏曲も同じに聞こえて全く区別がつかなかった、というから相当です。YouTubeにLiveが数曲アップされています。確かめてみると、確かに。。

 

Electric Warrior、邦題が『電気の武者』というカッコいいタイトルのこのアルバムは、ジャケットもいい!今YouTubeで見るとさほどハンサムでもないMarc Bolan率いるT.REXが下手な演奏でも人気バンドになった理由は、このセンスの良さのお陰でしょう。グラムロックという派手な印象とは正反対に、曲はシンプルだがとてもオシャレな感じがします。大貫妙子も昔ラジオでそんな事を言ってました。

 

T.REXの曲は、歌詞は違えどもどれも同じです。アップテンポのブギーとスローな曲、2パターンしかありません。このアルバムではアップテンポとスローな曲が交互に出てきます。1曲目のMambo Sunは軽快なブギーのリズムに乗った、T.REXのアップテンポの曲の良さが溢れた曲です。2曲目はスローなCosmic Dancer、なかなか良い曲です。以降、このパターンの繰り返しでアルバムは終わります。

 

6曲目(昔でいえばB面の最初の曲)のBang A Gong (Get It On)は大ヒット曲だけあって、ワンパターンの曲の中でも頭1つ分抜けています。Power Stationのカバーでも有名です。シンプルな構成なので、かえって飽きの来ない永遠にカッコよく新鮮な曲です。続くPlanet Queenはスローな曲ではこのアルバムのベストで、この2曲がアルバムの山場ですね。

 

同じグラムロックでもDavid BowieやRoxy Music(Bryan Ferry)と違って、T-Rex(Marc Bolan)の人気は長続きせず、あっという間に落ち目になり交通事故で死んでしまいました。ロックスターを絵に描いた様な分かりやすい人でした。

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Welcome to The Club

Flesh & Blood


003

Skylarking

XTC

【一瞬の輝き】Beatles好きの変人+奇人が作った最高のポップミュージック

 

最近、初のライブCDが発売されまだまだ話題が多いのがBeatlesです。そのBeatlesが大好きで、ポップだけどくせのある一筋縄ではいかない音楽を XTCのリーダーのAndy PartridgeとプロデューサのTodd Rundgrenは作っています。

 

そんな似たもの同士が組んだらどうなるか? 誰もが注目したが結果は、この素晴らしいアルバムを残して喧嘩分かれ、でした。 もう二度と実現しない二人のポップミュージックの天才が 才能をぶつけ合ったできた貴重なアルバムです。

 

1曲目から3分間のキャッチーなメロの曲の連続波状攻撃で、聴いていると『ポップミュージックっていいなあ』と単純に幸せな気分になります。スタジオの雰囲気は険悪だったのかもしれないのに、そんな気配は微塵も感じられません。

 

ピークは4曲目That's Really Super, Supergirlから6曲目の1000 Umbrellasに繋がる所、Strawberry Fields Foreverの頃の ボップでサイケなBeatlesが再現されています。 思えば、Beatlesも二人のポップミュージックの天才が才能をぶつけ合ったバンドでした。

 

けれど、僕のお気に入りはこの二人の作品ではなく、ベースのColin Mouldingが作ったDyingです。この人はAndyの影に隠れてしまい余り目立ちません。けど、結構良い曲を作る人です。この曲も、アルバムの中ではかなり地味だが繰り返し聴いてしまいます。Beatlesで言えば、George Harrisonみたいな人なのかもしれません。


002

After The Gold Rush

NEIL YOUNG  ニール・ヤング

【寂寥感ロック】どこか寂しさ感溢れるアコースティックな曲と、延々続く独特のエレキギター

 

『ゴールドラッシュの後』という印象的なタイトルは まさにこのアルバムを一言で言い表しています。 日本語だと祭の後の寂しさ、に近い感じだと思います。 このアルバムではNeil Youngの独特の寂しさ感がどの曲にも溢れています。 同じ西海岸でもEaglesのTake It Easyの世界とは随分違います。Neilがカナダ出身だからでしょうか。

 

1曲目、アコースティックなTell Me Whyで始まります。 シンプルな曲だがメロディの良さが光ります。 続いてピアノだけをバックにしたタイトル曲のAfter The Gold Rushは、シンプルな構成が余計にNeilのボーカルの寂しさ感をより浮かび上がらせます。くせの有るNeilの声は万人向けというわけにはいきませんが、僕の様に好きな人には最高の曲です。

 

4曲目のSouthern Manは、アップテンポの有名な曲です。人種差別が未だに続く南部を非難する曲だそうです。 途中Neilのギターソロが延々続きます。Eric ClaptonやJeff Beckといった人達の華麗な流れるようなプレイと比較すると、誰にでも余り流暢でないのが分かります。それでも、これだけ長いソロを全然飽きずに聴かせるのには感心してしまいます。

 

Neilの場合、テクニックよりセンスを大事にしているという事なのでしょうね。確かに、彼の曲には華麗なギタープレイは似合いません。

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Carney


001

Electric Ladyland

JIMI HENDRIX ジミ・ヘンドリックス

【サイケデリックなギター天国 】様々なギターサウンドが溢れる、ロック史上最もサイケデリック

 

まだ自分の部屋にステレオが無かった、学生の頃の話です。レコード屋から帰ってきて早速聴こうと1曲目...And The Gods Made Loveをかけた途端に母が飛んで来ました。 以後このアルバムを聴くことは禁止され、仕方がないのでカセットに録音して自分の部屋の安いラジカセで聴いていました。

 

Jimi Hendrixのギターテクニックについて専門的な事はわからず、全く感覚的なコメントです。Jimiのギターソロは、他のギタリストと比べると唐突に全く違うフレーズに移る事が多い様な気がします。 パラノかスキゾかというと絶対にスキゾだと思います。

 

お勧めの曲はディランの有名なカバーAll Along The Watchtowerや 2パターンのVoodoo Child、ファンキーなCrosstown Trafficといったですね。 音が右にいったり左にいったり、 ギターの音もワウワウをはじめ色々なエフェクターを通した音になっていて、 とにかくサイケデリックなアルバムで、 聴いていると段々頭が疲れきます。

 

疲れ切った所で、出だしのギターのフレーズが印象的な1983...(A Merman I Should Turn To Be)が始まります。 かなり長いジャムセッションで、ダラダラしている感もありつつも、「月明かりの砂漠の夜」といった幻想的な風景が浮かんできて、疲れきった頭を癒してくれます。

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