まるでビィスコンティの映画のよう、濃厚なロマンの曲

世の中には「理屈は分かるけどなんだかなあ」という事があります。例を挙げると、知り合いに料理を作ってくれる栄養士さんがいます。彼女の料理は栄養が高く体には良さそうですが、正直おいしくありません。

シェーンベルクは「１２音技法」というのを発明したことで有名です。難しい事は全然分からないが、長調とか短調を否定して１２音全てを平等に扱う事だそうです。理屈は分かるものの、１２音技法で作曲された曲を聞いてみると「なんだかなあ」という感じです。

「Verklärte Nacht（浄められた夜）」は１２音技法発明以前に作曲した曲です。濃厚な感じのする官能的な曲で、本当に夜の音楽という感じです。実は、「自分の子ではない子を身ごもっている女性を赦す」というのがこの曲のテーマだそうです。ラストは少し清涼感のある感じでいかにも浄められた夜明け前という感じのカタルシスで終わります。

こんな曲が書けるのに、なんで無調音楽に走ってしまったのだろうか？ちょっと勿体無いと言うか。でもVerklärte Nachtのような曲を何曲も作るというのもそれはそれで疲れる人生と言う感じもするし、なかなか難しいものです。

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